Sep 13, 2013

ホーチミン放浪記③

#②のつづき

ゆったりと流れる時間を肌で感じながら、熱気のする方へ向かう。クラクションを耳にしながらふらりふらりとバイクの間を行く。路上ではプラスチックの椅子に腰をかけたオバチャンがすかさず「タバコ?アメリカの?ベトナムの?」と声をかけてくる。

アタッシュケースに並べられた色とりどりのタバコたち。


大体の通りには等間隔でタバコ売りが腰をおろしていることに気づく。基本的に、“How much?”以外の英語は理解してもらえない。値段交渉は電卓使用。東南アジア流というかなんというか。



しばらくさまよい歩き、熱気の中心を発見する。ベンタイン市場(Ben Thanh Market)に辿り着く。


無数に入り組んだ狭い通路は人でごった返している。とにかく暑い。香りも特有のものがある。珈琲豆に始まり、得体の知れない香辛料の香りが鼻をつく。嫌いじゃない。

時間は心地よくゆるやかに流れている。東京に暮らしていると、どうしても時間は走り去る。すし詰め状態の駅、通り、電車内、喫茶店。まるでなにかに追われるかのように流れていく時間。

John Mayerの“Gravity”が脳内で流れる。
Oh, gravity is working against me.
And gravity wants to bring me down.

腰をおろし、タバコに火をつけ、あたりを眺める。
今回の放浪に出る前に、「なにをしにベトナムに行くの?」、「東南アジアに行く理由は?」といった類の質問を何度か投げかけられたことを思い出す。いわゆる「自分探し」の類に嫌気がさしているとでも言いたげに。「目先の利益が期待できるわけでもないのになぜ?」と。

「無駄」に可能性を見出してしまう。すがりついてしまう。あまりの「潔癖」は耐え難い。

「利益」という言葉も疑わしい。ひとつの行動が利益(Profit)をもたらしたのかどうかの判断は、つまるところ、振り返る(Looking back)ことでしか確認しえない。僕には無駄かどうかの判断ができない。

再び歩き出す。

#④につづく

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