Sep 18, 2013

ホーチミン放浪記④

#③のつづき


“I was lucky,” Mom said. “Your dad and I have been happy. But it hasn’t always been easy. One time I thought I was leaving him.”
“Really?”
“We were human.”―Bright Lights, Big City

揺れ動く意識。そんな言い方をすれば、なんとも若者的な在り方が浮かんでくる。村上春樹の小説の登場人物たちのような。仮に意識や自由意思といったモノが私たちを突き動かしているのであれば、(「選択するふり」をする僕たち)それらのなんだかよくわからないモノは常に揺れ動いているはずだ、とも思う。若者に限らずに。

基本的にわかりあえないのだと思う。だからわたしたちは言葉を尽くす。「よくわからないわたしたちを突き動かしているモノ」を伝えようとあがく。その行為は会話となり、小説となり、音楽となる。ときとしてそういった形を得た想いたちはわたしたちを動かす。

Stick figure with guitar

打算的にならずに初期衝動に身体をまかせてみる。そうすることでしか見えてこない、聞こえてこない、触れることのできないモノに寄り添う。
「無駄」に可能性を見出してしまう。すがりついてしまう。あまりの「潔癖」は耐え難い。「ホーチミン放浪記③」


今回のベトナム放浪に目的があるとすれば、メコン川をこの目に収めることである。そんなこともあり、Shinh Touristに出会えたことには感謝している。

当然ながら、日本語のツアーは英語のツアーに比べて割高なものである。下手をすれば、5倍なんてことも稀じゃないので。メコン川英語ツアーをひたすら探し歩いていた。


そしてみつけたのが、このShinh Tourist。メコン川一日ツアーがひとり約1000円という驚きの破格。(↑は相方と一緒の二人分。)

午前8時に集合し、バスに2時間揺られ、メコン川に向かう。参加者は20人ぐらいだろうか。ドイツ人の若者4人グループ、フランス人のカップル、韓国人ギャル集団5~6人、現地人老夫婦、中国人カップル、日本人バックパッカーと思しき青年、日本人と思しきオバさん、そして僕ら二人。


巨大さが恐ろしい。そんなことをまず思う。夜の海の恐ろしさと似ている。一方の岸から反対側までに二つの島があり、そこでは人々が暮らしているという大きさ。あまりにでかい。

ガイド曰く、「雨季なので水が濁っている」のだそうだ。時折、香ってくるアンモニア臭に加えて、この濁り具合。人が暮らしているんだな、と思う。


ゆったりと進む船に揺られながら、ぼんやりと土色に濁った水をながめる。

#⑤につづく

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